貫井徳郎著 『プリズム』感想・考察

読書

貫井徳郎さん著の『プリズム』というミステリー小説を読みました。
先が気になる面白いストーリーで、真犯人が気になりすぎてほとんど一気読みしてしまいました。

感想と考察を書いていますので、気になる方は読んでみてください。

「プリズム」のストーリー概要

はじまりは小学生の男の子の視点から物語は始まります。

みんなに慕われていた担任の「ミツコ先生」が自宅で亡くなってしまい、どうやら
他殺の可能性があると知ります。

どうして”良い先生”だったミツコ先生が殺されてしまったのか。気になる生徒たちは推理していき、容疑者の目星をつけます。

本書は4章構成になっています。

1章目で容疑者としてあがった人物が、2章目では主人公になり推理していきます

主人公として推理している時点で”犯人ではない”ことが確定し、
また次の容疑者が浮上してきます。

そして3章目では2章目の容疑者が主人公になります。

このような形で、容疑者が浮上しては
次の章で容疑者が主人公として登場して推理していくので

「この人は犯人じゃなかったのか…じゃあ誰が犯人なんだ?」と
どんどん真犯人が気になっていくストーリーになっています。

最後はどうなる?結末は?

ただ、ストーリーの結末としては
真犯人は謎のまま本書はおわってしまいます

さいごまで読んで思わず、「えーっ!」と声が出ました。

納得のいくネタバレがほしくて夢中になって読んでいたいたのでびっくりしてしまいました(笑)

読んだ後も、実際だれが犯人だったのだろう?と考えさせられる本です。

「プリズム」というタイトルが秀逸

タイトルになっている「プリズム」とは、
よく磨かれた平面をもつ透明な多面体のことで、光を分散・屈折・全反射させるために用いるものです。

こういった特徴からプリズムは比喩的表現にも使われていて、
「多様な視点や意見」を示す際に用いられることがあります。

まさに本書の物語を表しているタイトルだなと思いました。

・4人のそれぞれの視点で推理をして、全く違う結論に達している。
・4人からみたミツコ先生の人物像がそれぞれ全く違う。
・ミツコ先生は普通の人以上にいろいろな顔をもっている女性だった。
・事件には光を分散・屈折・全反射のように様々な出来事や偶然が作用している。

ミツコ先生の人物像だったり、多面的な視点からの推理は”プリズム”という言葉の表現通りです。

ミツコ先生自身がプリズムで、光を分散・屈折・全反射するかのように周囲のひとに影響を与えていって、この事件が起きたと感じました。

ミツコ先生に限らず誰しも、関係性の違う相手に同じ一面をみせているわけではなくて色々な顔をもっているのが当たり前だよな〜と思います。自分もきっとそうなんじゃないかな。

それでもミツコ先生は特に色々な顔を持っていて、影響力がある女性だったのでしょうね。

事件の真相を考察

結論からいうと、ミツコ先生の死の原因は”事故”なのではないかと考えています。

読んでいて疑問が湧いたことから推測してみました。

ミツコ先生は不倫相手である小宮山にもチョコレートをあげていないのに、なぜ南條に義理チョコを渡したのか?

ミツコ先生は不倫相手である小宮山にすらチョコレートをあげていないのに、なぜ南條に義理チョコを渡したのでしょうか?ミツコ先生の性格的にしなそうな行動ですが…。

考察

南條が村瀬さんに睡眠薬をつかっていたずらしたことを
ミツコ先生は山名さんから相談されていて、南條の犯罪を公にするために
山名さんと共謀。

南條のお返しのチョコに睡眠薬が入っていたことにするとか。
(その結果南條に身辺調査がはいり睡眠薬が発見されれば、と考えた)

そのためにあえて、南條に義理チョコをあげたのかな?とおもいました。

警察に通報した匿名の音声データは「山名さん」?

ミツコ先生が亡くなったことは朝方に匿名の人物が警察に通報したことで発覚しました。
その電話は音声データだったので性別も年齢もわからないようになっていました。

考察

警察に通報した音声データが山名さんなのではと考えたのは、山名さんが小宮山父に手紙をだしたときにも匿名性を保つためにワープロで書いていたのでそう思いました。

と考えると夜〜朝方にミツコ先生の自宅に山名さんは行っているので、共謀している可能性もまたあるかなと思います。

いくらミツコ先生でも、元恋人で旧友の恋人である井筒を自室によんだりするか?

ミツコ先生は大学時代のサークルの飲み会の後、元恋人で旧友の恋人である井筒に
あとで自室にくるように誘いました。
物語の後半になるにつれミツコ先生の奔放でわがままな一面が出てきますが、それにしても無神経な行動ですよね、ミツコ先生はなんで井筒を部屋に呼んだのでしょうか。

考察

元恋人の井筒を自室によんだのは、睡眠薬をのんだあとに発見してもらうためかな?と思いました。

井筒は医者なので普通に寝ているだけじゃないことに気がつきそうですし、
職業や立場を利用したいという理由で招いたのではと推測しました。

だとしても無神経なことに変わりないですけどね。(笑)
だったら事情を話して協力してもらうほうが確実ですけど、そうすると井筒から止められる可能性もでてくるのかな?

飲み会のあとに、井筒の恋人ゆかりとふたりで喫茶店にいったのは
ゆかりと井筒が飲み会のあと一緒に帰ってしまうと、自分の部屋にこないかもしれないと考えて
ふたりを一緒に帰らせないためにゆかりを誘ったのではないでしょうか。

ミツコ先生の死の真相考察

ミツコ先生が亡くなったのは、

「飲み会のあとにアルコールが回っている中睡眠薬入りチョコを食べておもった以上にふらついてしまい、クローゼットにぶつかって時計に頭を強打」

という不幸な事故だった、と推測しています。

窓はミツコ先生が自作自演で切ったのかなと思っています!

展開がおもしろく読後も楽しめる本

章ごとに主人公が推理していき、次の章でその推理が裏切られるので
どんどん「真犯人はいったい誰なんだ…!!」と先が気になる面白い構成の小説でした。

文章もリズムがよく、あまり読書しないひとでも読みやすいと思います。

真犯人がわからなくて(殺人なのか事故なのかもわからない)
読後に「えーっ!わからないの!」とはなったのですが意外とそのあと考察したりするのも
楽しいですね。

普段ミステリはあまり読まないのですが、知り合いがおすすめしてくれたおかげで新鮮で面白かったです。

こういう考察とかを友達同士や家族で出来たらすごく楽しそうだと思いました!
もし読んでいなくて興味があったら読んでみてほしい1冊です。

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