先日静岡に行く機会があり、せっかくならついでに観光したい!と思い
『久能山東照宮』に行ってきました。
実は『久能山東照宮』は、徳川家康公のご遺体が埋葬されていると言われている
非常に歴史的価値のあるスポットなんです。
アクセスは少し大変ですが、歴史好きとしてはたまらないスポットである久能山東照宮を
今回は紹介していきたいと思います。
実際に行ってみたのでアクセス方法など参考にしてみてください♪
徳川家康公が自らの埋葬地として選んだ「久能山」
天下統一を果たした徳川家康公は、晩年を静岡県の駿府城で過ごし
死去したあと「遺命」によって久能山に埋葬されました。
徳川家康公の遺命とは、
「遺体は駿河国の久能山に葬り、江戸の増上寺で葬儀を行い、三河国の大樹寺に位牌を納め、一周忌が過ぎて後、下野の日光山に小堂を建てて勧請せよ、八州の鎮守になろう」(『本光国師日記』より)
というものです。
この遺命によって御遺体は久能山に埋葬され、
2代将軍の徳川秀忠公の命によって久能山東照宮が建立されました。
なんと期間は1年7ヶ月ほどで造営されたそうです。
総漆塗で彫刻も細かな極彩色の社殿を、そんな短期間に造ったなんて本当に驚きですよね。
どうして家康公は久能山で眠ることを選んだのか
家康公が久能山で眠ることを選んだ理由には諸説ありますが、
家康公は「久能山からの景色が好きだった」というのはよく語られる説です。
久能山からは駿河湾を一望でき、遠くには富士山も眺めることができるので、この素晴らしい眺めが家康公にとっても特別だったのかもしれません。
そして戦略的に重要な地とされる「駿河」にとっても、久能山は要害の地。
そのような意味もあり、家康公は久能山で眠ることを選んだという説もあります。
きっと見晴らしのいい久能山から周囲を見渡して、泰平の世を願っていることでしょう。
わたしはこの説を目にして家康公にとっても特別だった久能山に行ってみたくなりました!
久能山東照宮にいってみよう!おすすめルートとアクセス方法
久能山東照宮に登る方法は2つ、
①日本平ロープウェイに乗って行くルートと
②久能山下から徒歩で登るルートがあります。
健康な人であれば「久能山下から徒歩ルート」がおすすめです。
どうして徒歩ルートがおすすめ?
徒歩ルートをおすすめしたい理由は、
歴史が感じられる石段や古道を歩ける、という点です。
昔の参拝者が辿った道を実際に歩けるので、「家康公もこの道を歩いて同じ景色を見たのだろうな〜」と
思いを馳せことができます。
そしてなんといっても、石段を登っているときに見える駿河湾の素晴らしい景色。
これぞ家康が愛した久能山!といった絶景を眺めながら歩くことができますよ。
周りの木々や自然、石段にも味わいがあって素敵なので
ぜひ「久能山下から徒歩ルート」で楽しんでみてくださいね。
久能山下までのアクセス方法
徒歩ルートで行くには「久能山下」まで行く必要があり、
久能山下までのアクセス方法は、車(タクシー)か路線バスになります。
静岡駅から久能山下までは、車で約25分の距離。
車で行く場合は、久能山下に民間駐車場があるのでそこを利用するといいと思います。
(いちご狩りをすると無料になる駐車場もあるとか?)
タクシーを利用する場合は、約3000円ほどの料金で久能山下まで行くことができます。
わたしはというと、路線バスを利用して久能山下まで行ってきました。
路線バスでの所要時間は約42分と時間がかかりますが、
料金は650円で久能山下までいくことができます。
静岡駅からバスで行く場合は、静岡駅南口から「しずてつジャストライン」というバスに乗車。
東大谷で乗り換える必要があるので、終点の東大谷で一度下車します。
降りたらそのままバス停で待っていれば久能山行きのバスが来るので、簡単に”久能山下行き”のバス乗り換えできますよ。
バスの中から駿河湾の海がキラキラしているのが見えてわくわくしていると、
バスの運転手さんが、久能局前のバス停で「ここで降りた方が久能山東照宮に行きやすいよ!」と教えてくれました。
やさしい運転手さんラブ。
バスで行く場合は「久能局前」というバス停で降りた方が久能山入り口の石鳥居まで近いみたいなので行かれる方は参考にしてみてください!
久能山東照宮の絶景 一の門
久能山東照宮の石段の前、「石鳥居」までやってきました。久能山東照宮への参拝はここからはじまります。
本殿までの石段はなんと1159段もあります!
「いち(1)いち(1)ご(5)く(9)ろうさん」と覚えるのだそうです。旅行中に何度も聞いたので自然と覚えました。笑
登るのはけっこう大変そうなのですが、久能山東照宮で働いている神職の方々は毎日登っているので7〜8分で登ってしまうとか。すごすぎる…!
この日は本当に天気が良くて、登っている間も日差しが強かったです。
ただ下の方は木が茂っているので涼しかったですし、「石段に木漏れ日」が綺麗だなーと考えながら登りました。
少し登ると駿河湾がみえてきて、もうわくわくがとまらないです。
ゆっくり登りながら景色をみました。
一の門まで登った時に見た景色が本当にきれいでした。
駿河湾と、奥に見える伊豆半島、御前崎が一望できます。
徳川家康公もこの久能山から見える駿河湾の景色の美しさに惚れ込んで、この場所にじぶんの遺体を埋葬してほしいと思ったのだろうな〜と思いました。
同じ場所で同じ景色を見ている昔の人がいることをよく想像するんですけれど、過去様々な年代の人たちや歴史的偉人の方々もこの景色を見て癒されていたんだろうなと思うと感慨深かったです。
ついに1159段の石段を登りきって久能山東照宮の入り口まできました。
ゆっくり登ればそんなにキツくないですが
10月なのに日差しがほんとうに暑かったです。
入り口付近に望遠鏡が設置してあるところがあって、そこからの景色も絶景です。
国宝 久能山東照宮本殿へ!極彩色の美しい彫刻
社務所受付でチケットを買い、ついに社殿を見に入ります。
ここでは社殿拝観のチケットと、すぐそばにある「久能山東照宮博物館」のチケットを一緒に買うことができます。
博物館も楽しみにしていたので共通チケットを購入しました♪
社殿 | 博物館 | 共通チケット | |
大人 | 500円 | 400円 | 800円 |
小人 | 200円 | 150円 | 300円 |
荷物は社務所の近くのコインロッカーに無料で預けることができます。(100円硬貨が必要ですが荷物を出す時返ってきます)
荷物を預けて身軽になり、いざ入場!
楼門
石段をあがっていくと朱色の「楼門」が見えます。
真ん中に「東照大権現」という文字が書かれていました。
東照大権現とは、徳川家康公が没後に後水尾天皇から授けられた神号だそう。
徳川家康公の神様としてのお名前、しらなかったです。
東照大権現の額の下あたりには「獏(ばく)」の彫刻があります。
獏は鉄や銅を食べると言われていて、戦争になるとそれらは無くなってしまうので
獏が生きていられる=鉄や銅がたくさんある=世の中は平和
ということで平和の象徴なのだそうです。太平の世を望んだ徳川家康公の人柄がでていますね。
門のところに徳川家康公の手形がありました。
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康は3人とも「ますかけ線」という珍しい手相なんですよね。
天下取りの相とも言われています。
唐門
さらに進んでいくと「唐門」があり、唐門の手前には「実割梅」があります。
実割梅は家康公が駿府城で自ら育てていた白梅で、その梅を久能山東照宮に植樹したのだそうです。春はきれいに咲いて、唐門に映えそうです。
神楽殿
右手には神楽殿があり、こちらではお抹茶とお菓子を楽しむことができます。
料金は500円で、作法がわからなくても気軽に楽しめます。
外の席か、神楽殿の中の席かを選べるのですが、わたしは神楽殿に入ってみたかったので中でいただきました。
大きな家康公の絵と、家康公の遺訓が書かれた掛け軸がありました。
お茶碗とお皿に葵紋が!かっこいい。(お茶碗は色々な種類があるみたいでした。)
落雁は梅?でしょうか。
たくさん歩いたので一息ついてゆっくりできてよかったです。
神楽殿の横にあるケースの中には、プラモデルがたくさん飾られていました。
久能山東照宮は1年7か月という短い期間で建てられており、そのために日本各地から優秀な職人さんが集められました。
その職人さん達が駿府に残って木工製品の制作に携わるなどしたことで、木製模型やプラスチック模型の発展につながり、
静岡にはバンダイ、青鳥文化教材社、タミヤ、ハセガワ、フジミ模型など、模型メーカーが多くできたのだそう。
飾られているプラモデルもメーカーから奉納されたものみたいです。徳川家康公がプラモデルの発展とも関わっていたんですね。
本殿 静岡県唯一の建造物の国宝
さらに階段をのぼっていくと日枝神社があり、お参りをしてからさらに進むとついに本殿です。
豪華絢爛な彫刻がほどこされた拝殿がありました。
ちょうど御祈祷がおこなわれていて神聖な雰囲気もありつつ、気持ちよく参拝することができました。
正面の彫刻には、真ん中に「司馬温公の瓶割り」とその両側に「老子孟子孔子」、「瓢箪から駒」が描かれています。
これらの彫刻には、家康公の大切にしていた教訓が込められています。
本殿は徳川秀忠が建立したものですが、家康公の大切にしていたものが彫刻から感じられて
秀忠公もその意図を尊重していたことがわかります。
社殿上部をみると葵紋が逆さになっているところがあり、「逆さ葵」と言われています。
”完成させてしまうとあとは朽ちるのみ”、という考えからあえて不完全な状態にしてあるのではないかと言われています。
これからも天下泰平の世が長く続いてほしいという願いが感じられます。
いろいろと意味があっておもしろいですね。
「司馬温公の瓶割り」とは。彫刻にこめられた教訓
昔かくれんぼをしていた子供が大きな水瓶のなかに落ちてしまいました。溺れて苦しんでいますが、みんなオロオロしたり、貴重な水瓶だったためハシゴをかけて助けようとするものがいる中、司馬温公はそれでは間に合わないと判断し、とっさに水瓶を石で割って友達を助けました という話です
どんな貴重なものでも命には変えられない、「命の大切さ」を説いた故事です。
この故事を教訓としていたということ、とても家康公の人柄を表しているなと感じます。
「老子孟子孔子」は終生勉強を、「瓢箪から駒」は人生は思いがけないことが起きるので覚悟をもって、という教訓です。
神廟(家康公のお墓)
最後に徳川家康公のご遺体が眠る「神廟」があります。
御遺体のある場所については諸説あって、
亡くなってから久能山東照宮にご遺体を埋葬して1年経ったのちに、日光東照宮にご遺体を移したのではないかという説と
そのまま久能山にご遺体が眠っているという説があります。
掘り起こすことはできないので、どちらが真実かはわからないのですが
わたしはなんとなく久能山で眠っているんじゃないかなと思っています。
辺りが厳か雰囲気で、心が正されるような感じがしました。
金の成る木
脇に「金の成る木」がありました。家康公が植樹した杉の木なのだそう。
「よろづ程よ木(万事ほどほどに)」「慈悲ふか木(慈悲深く)」「しやうち木(正直に)」の3本の木を、つねづね信用すれば豊かになれるよーと書いてありました。
甲冑みくじ引いてみた
一通り参拝が済んだあとにおみくじを引くことに。
「甲冑みくじ」というのを引いてみました。
引いたおみくじは「第1番」でした!なんか1番って嬉しい。
『まずは健康が一番大事で、1日1日の命を大切にしなさい。1日1日こころをこめて努力すれば成功する。もっと真剣になれ!』とのこと。
思い当たる節しかない。肝に銘じよう…。
甲冑は徳川吉宗公の「紺糸威鎧(こんいとおどしよろい)」でした。
名君吉宗公が好きなので嬉しかったです。
久能山東照宮博物館
最後に「久能山東照宮博物館」にいきました。
こちらには徳川歴代将軍の使用した甲冑が勢ぞろいしているんですよ。
特に、徳川2代将軍秀忠公の甲冑はひとつしか現存していないそうで
その甲冑が久能山東照宮博物館に展示されています。
秀忠の甲冑は、兜がないんですよ。
これは「後の世代に平和を託す」というような意味がこめられていて
戦いよりも平和を大切にしようとした秀忠の意思が感じられます。
とっても素敵ですよね。このエピソード好きです。
家康公の甲冑もみてきました。
歯朶具足や金陀美具足は展示されていなかったのですが
「白檀塗具足」という甲冑がありました。
鉄や革部分の上に金箔を貼り、上から透漆を塗ってつくられた具足です。
修復されたばかりのものだから綺麗だったなー、金色の色合いが上品で美しかったです。
そして吉宗公の「紺糸威鎧」もありました!
古武具を好んだと言われる吉宗公のためにつくられた復刻調大鎧で、
当世具足の中で異彩を放っていましたね。
吉宗公は身体もかなり大きかったんだろうな〜ということも鎧の大きさから感じられました。
その他にも家康公の薬を調合する道具があって、その使い込まれた感じから
マメな人だったんだろうなと思ってほっこり。
博物館もほんとうに楽しかったなぁ。
最後に:たくさんの人に久能山東照宮にいってみてほしい
久能山東照宮へのアクセスは少し大変ですが、その分到着した時の特別感や
駿河湾を見渡す「家康公が愛した絶景」を堪能できる場所としての価値は大きいです。
久能山東照宮で社殿や博物館を巡る中で、
「天下泰平の世が長く続くように」という願いが伝わってきて本当に素敵だなぁと感じました。
そして日本の歴史がより好きになりました。
こんな優しさをもった誠実な方が天下統一を成し遂げて、
その意思が代々受け継がれてきたなんて素晴らしいですよね。
久能山東照宮は、そんな意図や思いが実感できる場所だと思います。
たくさんの人に久能山東照宮に足を運んでもらい
このような歴史的背景を身近に感じていただいて、日本の素敵なところを知ってほしいなと思いました。
みなさんも静岡に行った際には、ぜひ行ってみてくださいね。
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