「踊る大捜査線」のスピンオフ作品、「室井慎次 敗れざる者」に引き続き、
「室井慎次 生き続ける者」を観てきました。
作品の感想にネタバレを含みますのでご注意ください!
映画の舞台は秋田県。
室井さんは警視庁を定年を前に退職して、秋田に帰って生活していました。
なんと、室井さんは里親として子ども達と一緒に生活をしているのでした。
前編に引き続き、室井さんの里親としての行動や考え方が素晴らしかったです。
正に、安心感を得られなかった子ども達にとっての「安全基地」になっているなと思いました。
「安全基地」とはなにか
子供は親との信頼関係によって育まれる『心の安全基地』の存在によって外の世界を探索でき、戻ってきたときには喜んで迎えられると確信することで帰還することができる。
現代においては子供に限らず成人においてもこの概念は適用されると考えられている
(出典:Wikipedia「安全基地」)
安全基地とは、「心の拠り所」であり、
不安を受け止めてくれたり、安心して信頼できる大人の存在のことです。
室井慎次は最高の安全基地だった
今回の作品では、事件の被害者や加害者の家族である、身寄りの無い子供達を室井さんが引き取って里親として育てていきます。
こういった境遇から子供たちは精神的に不安定な部分もあって、さまざまな問題がおきるのですが
室井さんは決して怒らず、子ども達の全てを深い愛情で受け止めて「安心感と信頼」を与えているのがわかりました。
室井さんは子供たちにとって、「最高の安全基地」だなぁ、と思いながら観ていました。
室井さんのような安心して帰れる場所、頼れる大人の存在は
こどもの成長、自主性を養うことにとってとても大切なんです。
安心は行動を促してくれる
「前編 敗れざる者」のとき、里親として引き取っている子供の1人、貴仁が
母親を殺した加害者の男に会いに行くシーンがありました。
そのときに室井さんが一緒に面会をしてくれるのですが、
あれも、室井さんという安心できて帰ることができる場所が側にあるからこそ、加害者男性に会うという行動をとることが出来たんですよね。
あのシーンの室井さんの存在は、ものすごく大きく感じました。
凛久も、友達にいじめられたときは、父親に虐待されたことを思い出して怖くて動けなかったけど
室井さんが「今度そういうことがあったら、俺をよべ」と抱きしめてくれて
次のときには、友だちにやり返すことができました。
これって、自分を大切にする上でとても重要なことです。
安心って、行動を促してくれるんですね。
安心によって主体性をもって生きられる
杏も、はじめは母親の日向真奈美からの洗脳で、
「人に傷つけられる前に、傷つけてやれ」という教えから、室井家にさまざまな問題をもたらしました。
でも室井さんは、それらを怒ることなく受け入れて、杏自身がじぶんで気がつくことを待ちました。
これって、子どもの力を心から信じられてないとなかなか出来ないことだと思います。自分だったら、こんな行動がとれるかな、と思いながら観ていました。
子どもはバカじゃないです。
杏も母親が間違ってることに気がつきながらも、どうしていいかわからなかっただけでした。
室井さんと接する中で、安心感に触れて本来の自分でいられるようになっていきました。
こうして、杏も、他の子供達も
主体性をもって、自分の力で生きていくことを学んでいくのでした。
これは室井さんという、安心して帰れる場所、安全基地を子ども達が見出したからこそですね。
よかった〜。
序盤のほうとか特に、杏がなにか事件を起こしてしまいそうで、
「ほんとに全員しあわせになってくれ…なにも起きないで…」みたいな気持ちでずっと観ていたので。笑
なぜ室井慎次は里親になったのか
今回の後編で
なぜ室井さんが、身寄りのない子どもを引き取ることにしたか、という話をしていました。
「仲間との約束を果たせなかったが、別の形で約束を果たしたいと思った」
室井さんは、事件に巻き込まれて苦しんでいる家族、子どもたちを助けることで
約束を果たそうとしたんですね。
わたしたちも、事件に実際は関係のないはずの家族の方々が苦しんでいるということを理解して、
まずは悲しい事件のない世の中、そして
事件に関わった方のご家族に対しての偏見がない世の中にしていきたいですね。
ラストシーンの感想:室井慎次との別れ:※ラストのネタバレ含む
最後に室井さんが、まさか死んでしまうとは思わなくて、本当にびっくりしました。
正直、心肺停止の描写があったときも全然信じられなくて、
え?え?
って感じでした。
その後、室井さんの椅子に花を手向けに来る人々をみて
本当に死んじゃったんだ、と。
ほんとうにショックでした…。
ラストの回想描写で、室井さんがお酒で酔って子供たちに夢を語るシーンでは、
「ここにもっと大きな家建ててさー、もっとたくさんの子供達と一緒にくらしてぇな
ちっとも寒くねーよぉ…」
と言い続ける室井さん。
普段は寡黙な室井さんが、すごくしあわせそうな顔で語っているのをみて
本当にいまの子供達との生活をたのしんでいて、これが心の底からの願いなんだな〜って
伝わってきました。
そして、その想いが子供達にもちゃんと伝わっていました。
室井さんの死後、子供たちはその室井さんの夢を叶えようと動き始めるのです。
室井さんの想いが、子供たちの中で生き続けているんだな〜…。
泣いたー。
わたしも室井慎次と暮らしたい、とほんと思いました。
映画室井慎次、面白かったです。
実はこの後続編があるようで、
今度は踊るの主人公、青島に引き継がれるみたいです!
青島が「室井慎次の家」を訪れようとしたシーンで終わりましたが、次回はどんな作品になるんでしょうか。
公開されるのは2026年ごろみたいなので楽しみにしたいと思います。
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